サラリーマンが開業届を出して「青色申告」することのデメリットと、事前に考えておきたいこと

本業をしながらブログなどで副業していると、「確定申告するときに青色で出したほうが、控除とか使えてお得だよ〜」という主張を目にすることがあります。

たしかに、開業届を出して青色申告の特別控除(65万円)を使えるのはメリットが大きいのですが……

ぼくはサラリーマンで収入が本業>副業となっているうちは、開業届は出さずに白色申告で済ませたほうが得だと考えています。

その理由を、青色申告のデメリットを交えながらまとめてみました。

サラリーマンが青色申告することのデメリット

もしあなたがサラリーマンであり、開業届を出そうか迷っているのであれば、

  • 開業すると、受け取れなくなる制度
  • サラリーマンの立場だからこそ、活用できる制度
  • ムダな固定費は削減できないか?

の3点を考え、「本当に青色申告するメリットがあるのか?」を振り返ってみてください。

傷病手当金や失業給付を受けられなくなる

サラリーマンが在職中に開業届を出してしまうと、病気やケガで給与がストップしたときにもらえる「傷病手当金」や、離職したときの「失業給付」がもらえなくなってしまいます。

なぜなら、開業届を出していると、制度上は「自立できていますね!」と判断されてしまうから

  • あなたは開業しているんだから、「事業」をやっている状態ですよね?
  • 売上は知らないけど、失業はしてないですよね?
  • だったら、傷病手当金や失業給付は使えません(仕事を失ってないから)

ということになり、対象外となってしまうのです。

傷病手当金とは

病気やケガの療養のため働けなくなり、会社から給料が支払われない期間、生活を保証するために公的医療保険(健康保険)から支払われる給付金。だいたい給与の2/3ほど、最大1年6ヶ月間だけ支給される。

失業給付とは

生計を立てている人が離職・失業したとき、生活を維持するために職業安定局(ハローワーク)から支払われる給付金。人によって支給額・日数はマチマチだが、だいたい給与の2/3ほど、90日〜300日間もらえる。

サラリーマンの給与明細には、雇用保険が引かれている項目があります。毎月数百〜数千円の微々たる額ですが、これは失業給付などを受け取る”権利”を得るために支払っているものと考えましょう。

これらを投げ捨ててまで、開業届を出して青色申告で控除するメリットがあるか……?と言われると、ぼくは無いと思います。傷病手当金や失業給付には、税金がかからないし。

白色申告ならOK?

逆に言えば、開業届を出していない(=表向きには事業をやっていない状態)なら、傷病手当金や失業給付の制度を利用することができます。

開業届を出さずに確定申告できる「白色申告」であればOK……というと語弊があるかもしれませんが、そのような認識で大丈夫だと思いますね。

ただ、いずれの制度でも副業の種類によっては、収入を無申告にしていると罰則がつく可能性があるので、健康保険組合(協会けんぽなど)やハローワークに確認しておきましょう。

サラリーマンだからこそ、フル活用できる控除もある

サラリーマンなら、青色申告の65万円控除を使わなくても「ふるさと納税」や「iDeCo」で控除していく方法も取れます。

ふるさと納税とは

「住民税の控除上限額+2000円」を前もって納付することで、税金の還付・控除が受けられる制度。寄附した金額だけ住民税が控除される(上限あり)ため、実質2,000円で地方のお礼の品を受けとることができる。

iDeCo(イデコ)とは

確定拠出年金法に基づく「私的年金」の制度。毎月5000円から掛け金を設定できる。60歳まで引き出せないのがデメリットだが、毎月掛けている金額分だけ、確定申告で控除することが可能

とくに「ふるさと納税」は、会社勤めだとフルに効果を発揮できます。

住民税は給与から自動的に引かれるため、普通に税金を支払っているより、返礼品のぶんだけ得するんですよね(上限はあるけど)。

またiDeCoは、毎月の掛金がそのまま控除でき、しかも数十年後には自分の資産として返ってきます。

これら2つの制度は、現代の日本で生きるサラリーマンにとって「最強の節税方法」です。

ぼく自身、うつ病で退職したので控除どころでは無い状態だったんですが、「ふるさと納税やiDeCoは開業してなくても利用できる制度だから、退職するまえにやっておくべきだったな……」と後悔しています。

青色申告ソフトは「有料で維持」しないと、使い物にならない

青色申告は複式帳簿で提出しないといけないため、確定申告ソフトを導入する人は多いと思います(手書きでノートに複式帳簿をつけている、という猛者は対象外)。

近年は確定申告ソフトのオンライン化が進んでおり、クラウドソフトだとクレジットカードの決済情報を取り込んで、自動的に収支計算→書類を作ってくれる仕組みが整っていますね。

便利になったのは良いんですが……取り込みできる数に制限があるなど、無料だとマトモに使えないサービスがほとんどです。

どのクラウドサービスを使うにしても、青色申告したいなら有料プラン(1000〜3000円/月ほど)の登録は必須。対して、白色申告には「やよいの白色申告オンライン」という完全無料で使える確定申告ソフトがあります。

無料のクラウドサービスに使い慣れてしまうと、毎月の固定費が増えてしまうことに、どうしても抵抗が出てくるはずです。ぼくがそうでした。

そもそも副業くらいなら、それほど帳簿をつける回数も少ないと思います。

  • 1万〜4万円/年のお金をかけて、小難しい複式帳簿をつけながら、本業より収入の少ない副業のために青色申告する
  • 無料で必要最低限の帳簿をつけつつ、白色申告する

の2択なら、ぼくは退職した今でも白色申告を選びますね。

控除ばかりではなく、毎月お金が出ていく維持費を削減することも考えておきましょう。

おわりに

これだけ書いといてなんですが、たしかに青色申告のほうがメリットは大きいとは思います(´・ω・`)

65万円控除に加えて、不動産など他の利益があれば損益の合算ができるし、30万円未満の消耗品でも一括計上できますからね(白色だと10万円未満しか計上できない)。

だけど、本業の手取りを超えないレベルの副業なら、わざわざ控除目当てで開業届を出す必要性はないんじゃないかな、という考えは変わりません。

ちなみに、2020年(令和2年度の申告分)からは、白色申告でも基礎控除額が38万円→48万円にアップしました。青色申告しなくても、勝手に売上から48万円分の控除は引かれるようになっているんですよね。

現時点でできる控除はあるか、開業届によって利用できなくなる制度はないか。

この2点を考えて、それでも青色として申告したほうがメリットが大きいと感じるなら、開業届を出すようにしましょう。

感想をどうぞ

  1. 初めまして。
    記事を読ませて頂きました。
    現在内蔵系の病気で傷病手当を貰って会社も辞めました。
    フルでは働けませんが、何か少しでも収入元が欲しいところです。
    確定申告で、青色は手当てが貰えないと書いてあります。
    そのあたり、もう少し掘り下げて教えて頂けないでしょうか?
    白色申告は、大丈夫なのですかね。

    分かりやすく記事で、かいてありますが、差し支えなければもっと教えて下さい。

    • コメントありがとうございます!

      雇用保険から給付される「傷病手当」と、健康保険組合から給付される「傷病手当金」は別物ですが、いずれにせよ開業している(=開業届を出して青色申告できる状態)なら、受け取ることはできないと思います。

      その点、白色申告であれば開業の有無は関係ないので、制度は使えるという認識です。

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