佐々木圭一さん著の『伝え方が9割』には、1と2がある。
どちらも買ってみて感じたのは、これから読むなら「2」だけで十分ということだった。
その理由は、2は1を踏襲した内容となっているため。「はじめに」でも、前作を読まなくても分かるように構成してあると書かれている。
本書『伝え方が9割②』は、前作の『伝え方が9割』を読んでいなくても、わかるように構成してあります。一方でこちらを読んだあとに『伝え方が9割』をお読みいただけると、より理解が深まるはずです。
伝え方が9割 2
加えて、本のキモである「7つの切り口」と「8つの技術」は、実践ストーリーのある2の方がイメージしやすい。
今回は、1と2の違いについて、本の内容を振り返りながらまとめてみた。
1と2の違いについて
「1」と「2」のどちらも、言葉の伝え方には「7つの切り口」と「8つの技術」があり、これらを使いこなすことで、相手を思うように動かすことができる……という大筋は変わらない。
具体的には、以下のとおり。
- その1相手の好きなこと
好感を持たれながら、こちらの希望を通す。
- その2嫌いなこと回避
こんなデメリットがあるからやめよう!と伝える。
- その3選択の自由
相手に自分で選んだ意識をもたせることで、押し付けられている感を少なくする(どちらを選んでも自分のやってほしいこととなるように)。
- その4認められたい欲
期待されるとその通りの成果を出したくなる「承認欲求」の力を利用する。
- その5あなた限定
その人以外ではダメ。あなたこそ選ばれた人であることを伝え、話に乗らせる。
- その6チームワーク化
人といっしょに何かをすることが好きな本能を使い、相手を動かす。
- その7感謝
好意を受け取ると、相手に好意を返したい気持ちがはたらく「返報性」を利用する。
- その1サプライズ法
伝える言葉に驚きワードをつける。「!」がいちばん簡単。
- その2ギャップ法
伝えたいことをそのまま言い放つのではなく、内容にギャップをつくる。
- その3赤裸々法
言葉に体温を感じさせ、詩人のようなニュアンスをつくりだす。
- その4リピート法
記憶に刷り込み、感情を揺さぶる。
- その5クライマックス法
伝えたい内容に集中力を持って聞いてもらえるようにする。
- その6ナンバー法
数字を入れることにより、視覚的にも内容としても理解しやすくさせる。
- その7合体法
2つのものの組み合わせで、新しいものをつくりだす。
- その8頂上法
「いちばん」のものに、人は強烈に興味を持つことを利用する。
1と2をあわせて450ページくらいだけど、要点はこれだけである。
「2」は「1の復習+α」の構成
8つの技術のうち、後半の3つは「2」にしか書かれてないもの。
他の技術は「1」でも記載されているので、前作を読んでいるなら「2」で復習できる内容となっている。
もし両方とも読んでみたいなら、「1」を流し読みしてから「2」に突入する、という使い方がいいのかもしれない。
本として手元に残すのは、「2」だけで十分である。
1を読むメリットは『第1章』と『コラム』にある
あえて「1」を読むメリットを挙げるとすれば、「2」にはない『伝え方の技術の発見(第1章)』までの説明と、たまに出てくるコラムくらい。
もともと伝え方が苦手だった著者による体験談がまとめられており、実際に技術として体系化するまでの流れをつかむことができる。
「人は国語の教科書のような表現ではなく、心に響くかどうかで物事を決めている」という背景を知っておいたほうが、より伝える技術を学ぶ必要性を感じ取ることができると思う。
また「1」には、付箋や長文で技術を使うコツをコラムとして紹介されているページがある。
- ビジネスの場でスルーされがちな付箋を、いかにさり気なくアピールさせるか?
- 短文ではなく、長文として技術を使うなら、どんなところに注意するべきなのか?
コラムは短いながらも、参考になるページだと感じた。