会社に勤めて2年。うつ病を発症して2月から休職し、3月末に退職。
幸い休職中は給料が出ていたため、退職してから傷病手当金を申し込むこととなりました。
この傷病手当金、条件を満たせば「退職後にはじめて申請する人」でも支給されます。
在職中からもらってないと、退職後はもらえない……というわけではないです
今回は、うつ病で退職してから傷病手当金をはじめて申請したい人に向けて、申請書類の書き方とチェックしておきたい項目をまとめました。
モデルケース(20歳・うつ病により退職)
モデルケースがあったほうが分かりやすいと思ったので、今回は自身の経験をもとにしてみます。
- 2018年4月入社
新卒で入る
- 2019年12月精神科に通院
睡眠障害により、精神科に通院をはじめながら勤務
- 2020年2月うつ病&休職
不眠が治らず、精神科でうつ病と診断。休職する
- 2020年3月退職
体調が良くならないため、退職
会社で加入していた当時の健康保険は「全国健康保険協会(協会けんぽ)」であり、障害年金などは受けていません。
傷病手当金の申請書を用意する
傷病手当金の支給申請書は、保険証に記載されている協会けんぽの支部に行けばもらえます。
協会けんぽであれば様式はどこでも一緒なので、遠かったり、行くのがしんどかったりする場合はホームページから印刷しましょう。
協会けんぽでもらう申請書はしっかりした材質の紙ですが、提出そのものは薄っぺらのコピー用紙でも大丈夫。
また印刷するときは、A3の見開きページで両面印刷してもいいし、それぞれA4で一枚ずつコピーしてもOKです。
傷病手当金の申請書の書き方
申請書は、ぜんぶで4ページ。
退職後にはじめて申請する場合でも、1〜4ページすべての項目が記入されてないと、傷病手当金を受け取ることはできません。
なので、「退職したあとでも書類さえあれば大丈夫でしょ」と考えるのはNG。
どうしても第三者に書いてもらう箇所が出てくるので、傷病手当金をもらうと決めたら、早めに会社の担当者・医師に相談しておきましょう。
会社に「事業主記入用」(3ページ)を埋めてもらう
まず、事業主(会社)のページを埋めてもらいます。記入例は、こんな感じ。
先に事業主の欄を書いてもらう理由は、自分で書く欄(1ページ)の報酬額が分からないため。
自分で1〜2ページを埋めてから会社に郵送してもいいんだけれど、報酬額だけは会社に確認しないといけないので、二度手間となってしまうからです。
退職してからだと頼みづらいし……
また、会社が記入した内容を事前に確認できる意味もあります。
休職中に傷病手当金を申請するときは、会社を経由して申請することになりますが、退職後だと自分で協会けんぽに提出しなければいけません。
ほとんど無いと思いますが、担当者の記入ミスが発覚でもしたら、書類の不備として申請できなくなってしまいます。
書いてもらったら、自分でも以下の点をチェックしておきましょう。
退職の3日前〜退職日は「休み扱い」になっているか?
まず1つ目、勤務状況について。
退職してからはじめて傷病手当金を申請するときの支給要件は、以下のとおりです。
小難しく書いていますが、つまり
- 1年以上「雇用保険料」を支払っている
- 退職の3日前〜退職日に「出勤扱い」がない
- 働ける状態ではない
ときのみ、申請すればもらえるということです。
具体例で見ていきましょう。
例えば、退職3日前〜退職日までが休みのマーク(△、公、/)であれば、支給の条件を満たすのでOK。
けれど、もし「退職の3日前まで」に出勤マーク(○)がついていたり……
退職日に出勤扱いとなってしまうと、支給要件を満たされません。
ここのマークが違うだけで、支給されるかどうかの運命が変わります。必ず確認しておきましょう。
書類の証明日は「退職日」より後となっているか?
また書類の証明日は、退職日以降の日付となっているかチェックしておきます。
傷病手当金の申請書では、「未来の日付を証明することはできない」決まりがあります。
今回のモデルケースだと、3月31日に退職するのは、あくまでも予定。
在籍しているうちに申請書を書いてもらう場合、会社の担当者によっては、書類を記入した日付にしてしまうこともあり得ます。
3月31日に退職するのに、申請書類の証明欄に「3月20日」みたいに書かれたらダメってこと
3月いっぱい休んでいたことを示したいなら、「3月31日以降に証明しましたよ!」と書いてもらわないと、書類としては不備です。
だから、書いてもらうなら退職日以降の日付にしてもらうよう、お願いしましょう。分かりやすく「退職日の日付で記入してください」で大丈夫だと思います。
医師に「療養担当者記入用」(4ページ)を埋めてもらう
会社に埋めてもらったら、次は医師に記入をお願いします。
記入例は、こんな感じ。
初診日や診断名は病院のカルテを調べないと分からないうえ、申請書を書いてもらうときはお金もかかってきます(保険適用・3割負担で300円)。
医師も慣れているだろうし、規格に沿って書いていくだけだから、任せっきりで大丈夫とは思いますが……
転帰が「繰越」にチェックされているか
一つだけ、3ページの「転帰」という欄は確認しておきましょう。各項目の意味は、以下のとおりです。
治癒・・・すでに治ったか、現状以上の回復が見込めない(治療の効果なし)
中止・・・何らかの理由で治療を中止する
繰越・・・回復が見込めるため治療を継続中
転医・・・転院などで担当医が変わる
うつ病で通院を続けている場合、回復に向けて治療を続けているケースがほとんどなので、「繰越」にチェックされているはずです。
もし治癒だと、協会けんぽ側から「うつ病で通院する必要がなくなった」と見られてしまう可能性がある
僕は体験してませんが、ネット上では「医師が治療と勘違いして治癒にチェック→申請書が返却」という書き込みを見かけたんですよね。
いちおう、目は通しておくといいです。
自分で「被保険者記入用」(1〜2ページ)を書く
会社と医師に書いてもらったら、最後に自分が記入するところを埋めていきます。
記入例は、こんな感じ。
協会けんぽのホームページに詳しい書き方が載っているので、そのとおりに入れていけばOKです。
⇒ 全国健康保険協会「傷病手当金の支給申請書・手書き記入例」
ここでは、記入するときに注意しておきたいポイントだけ紹介します。
保険証が分からないときは「被保険者資格喪失届」を確認する
- すでに保険証を会社に返した
- いまは手元に保険証がない
などの理由で記号・番号が分からない場合、退職後に会社から受け取る「被保険者資格喪失届」で確認できます。
会社によって様式は違ってくるので、この記事では画像は載せていません。送られてきた書類を、各自で調べてください。
どうしても分からないときは、保険証の番号を会社に聞くか、マイナンバーカードの裏表コピーを添付して代用しましょう。
振込先は「会社で使っていた口座」でなくてもいい
また、振込先の指定口座については、会社で使っていた銀行口座でなくてもOKです。ネット銀行でも大丈夫。
地銀だと時間外手数料がもったいないと思ったので、僕は「ゆうちょ銀行」に変更しました
ゆうちょ銀行の支店名などは、通帳・キャッシュカードにある口座番号をもとに、公式サイトで調べることができます。
⇒ ゆうちょ銀行「記号番号から振込用の店名・預金種目・口座番号を調べる」
支給申請書の記入例ではゆうちょ銀行で紹介されているので、こちらを使ったほうがスムーズかもしれません。
病状や給料の状況については、3〜4ページを参考にする
自分の病気の状態・会社の給料の状況について書く2ページ目では、
- 傷病名と初診日については4ページ
- 療養のため休んだ期間や勤務状況・給料については3ページ
の情報をもとに埋めていきます。
ここで、最初に会社・医師に記入してもらった意味が出てきます
番号を選択する箇所は、労災保険や障害年金などは受けてないなら、すべて「3.いいえ」を選べばOKです。
協会けんぽに提出して、完了!
ここまで順を追っていけば、支給申請書のすべての項目が埋まっているはず。
あとは協会けんぽに出向いて提出するか、郵送で送れば手続きは終了です。
初回の申請で「3月末まで休んでいた」ことを証明できれば、その後の申し込みは自分と医師の欄(1・2・4ページ)だけ記入していけば大丈夫です。
傷病手当金は、毎月申請するからね
はじめてのことだらけで心配かもしれませんが、1つずつゆっくり進めていきましょう。