2019年に話題となっていた「ファクトフルネス」を、いまさらながら読んでみた。
本編だけで350ページくらいあるけれど、要はデータの見方や偏った思い込みを改善して、自分で考えるクセをつけよう!って内容である。
読み終えて感じたのは、コロナでひっきりなしに騒いでいる2020年こそ、読むべき本なんじゃないか?ということだった。
今回は、ファクトフルネスを読んでみた感想を、いまの情勢とからめて書いてみた。
本の内容は「10個の本能」を抑えること
要点だけしぼって書くと、以下のとおり。
- 第1章分断本能
話の中にある「分断された言葉」に気づくこと。平均や極端な数字だけ見て比較するのはNG。大半の人はどこにいるのか、探してみよう。
- 第2章ネガティブ本能
ネガティブなニュースに気づくこと。否定的な話はすぐ耳に入りやすく、印象にも残りやすい。良い出来事はニュースになりにくいし、悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない。
- 第3章直線本能
グラフはまっすぐに伸びるものと思いがちだが、さまざまな形があることに注意する。
- 第4章恐怖本能
恐ろしいものには自然と目がいくことに気づくこと。メディアや自身の関心フィルターで、恐ろしい情報ばかり受け取ってないだろうか?
- 第5章過大視本能
ひとつの数字だけで判断してないか?ほかのデータと比較したり、割合を出してみたりすれば、過大視している事実に気づく。
- 第6章パターン化本能
ひとつの集団パターンだけを根拠にして、説明されていないか?同じ集団の中に違いはあるか、違う集団に共通点はないか、ちゃんと分類してイメージだけで判断しないように。
- 第7章宿命本能
変化がゆっくり少しずつ起きていることに気づくこと。小さな変化でも積み重なれば、やがて大きな変化になる。小さな進歩・過去の知識をアップデートしよう。
- 第8章単純化本能
ひとつの視点だけでは、世界を理解できない。自分の考え方に賛同する人や情報を集めるだけではダメ。意見の違う人に検証してもらうことも大切だ。
- 第9章犯人捜し本能
誰かが見せしめとばかり責められていることに気づくこと。誰かがわざと仕掛けてなくても、悪いことは起きる。誰かに責任を求めるのではなく、原因やシステムを理解すべき。
- 第10章焦り本能
いますぐ決めなければならないと感じたら、自分の焦りに気づくこと。焦りを抑えるには、深呼吸し、データにこだわり、予測には幅があることを心に留め、小さな一歩を重ねるといい。
※上記は、本の内容をわたしなりにまとめたものである
すべてとは言わないが、「コロナウイルスを話題にしているメディア」に思い当たる節、あると思う。
とくに
- ネガティブ本能
- 恐怖本能
- 焦り本能
については、いまの情勢にピッタリ当てはまるんじゃないかと感じた。
報道は「ネガティブ」が大好き
テレビや新聞・ネットニュースなどでは、暗い話はニュースになりやすく、明るいニュースは取り上げられにくい。
飛行機の墜落事故は1件でもあればメディアに取り上げられるのに、何千と飛ばしている正常な便については、見向きもされない。
本にも書かれているが、「今日出発した便は、すべて無事に到着しました!」なんて報道したところで、だれも振り向かない。それが当たり前だから。
ネガティブな話題だと目につきやすいと分かっているから、メディアは最悪の事態とか暗い話ばかり持ってくるのだ。
恐怖は関心の外からやってくる
また、わたしたちは世の中の情報を取捨選択するとき、自分が関心を持っているフィルターを通してやってくるらしい。たしかにそのとおりだと思う。
まったく興味のない話を聞かされたところで、たぶんスルーするだろう。服のブランドについて聞いたとしても、ほとんど頭に入らずに終わる。
しかし、興味があることなら進んで情報を集めている。好きなバンドがいれば新曲のリリース日が気になるし、公演情報を調べまくっている。
ただ、本能を刺激するものだけは、このフィルターをくぐり抜けてくる。
今回なら、恐怖。病気にかからないように行動しようとして、マスクや備蓄品の買い込みから不足するニュースやSNSの投稿が後を絶えない。
ネガティブと恐怖で、焦りを感じる
- メディアから発信され続けるネガティブな情報
- いやでも目や耳に入ってくる、人の購買や病気の状況
これら2つが組み合わさり、正常な判断をせず「焦って行動」する人が増えているんだと思う。
SNSで「原料が不足してティッシュやトイレットペーパーがなくなるかも!」と発信されたのがきっかけで、購買運動が起きたときの例は分かりやすい。
国は「物流は正常だから〜」と発信しているのにもかかわらず、思考停止して動いている状態である。
紙類についてはすぐに収束したものの、これから水や食料などの買い込み騒動も、起こらないとは限らない。
ちゃんと情報は見極めることが大事
「個人が情報を見極めて、考えていく力」が大切なんだと思う。
ファクトフルネスで印象的だったのは、暮らしが良くなり、報道も自由になったことで、悪事や災いに対する監視の目が厳しくなったと書かれていたこと。
インターネットが発展したことで個人が発信しやすくなり、他人や団体を叩いたり、よりネガティブな情報が出てくる現象は、より加速していく。
いまの情勢に当てはめるなら、
- 世界が悪くなっているように見えるのは、メディアの報道を鵜呑みにしているからではないか?
- いちどでも、政府や首相官邸のホームページから一時情報を調べたことはあるのだろうか?
- 深く考えず、なんとなく不安に感じているだけでは?
といった部分を頭に入れて、生活していくべきなんだろう。
ファクトフルネスを読んだことで、「しっかり事実としての情報を集めてから、モノゴトを考えよう」と確認することができた。
余談
ファクトフルネスを読んだ副作用(?)として、書かれている数字・情報について、意識しなくても疑問に思ってしまうようになる。
本に巻かれているベストセラー第1位という帯、読了の前後で見方が変わってしまった。
これも一種のイメージ操作なんだな〜と感じられた。
(なんのデータも根拠にしないで、ただ感想を書いているわたしが言えたもんではないが)